モルジブで生き物と戯れるそのひととき
モルジブは快晴です。
まぶしい!まぶしすぎる!!目を開けていられないほどのこの輝き!!!
ここはミール・アイランド。インド洋北マーレ環礁の一角。
モルジブでは1島1リゾートが基本。旅行代金には食事も含めた全ての旅行代金が
含まれてるのが普通です。食事は決められた席で決まったウェイターが付いて、ビュッフェ形式で頂きます。うちの席はビーチバンガローを望める奥から2番目の席。
ウェイターは眉毛の濃い、南国顔のおにいちゃん。
周りを見れば、お客はみ~んな西洋人。目の前の席にはフランス人っぽいジョバンニ夫妻(勝手に名づけました)
斜め前にはドイツ人ぽいスチンドラー夫妻(便宜上、いま名前つけました)
後ろにはゴッドファーザーでアルパチーノがシチリアに逃避してたとき結婚してたアポローニャそっくりの奥様、その後ろには、スペイン・情熱系美人。
今日は、その中でもジョバンニさんをご紹介しましょう。
ジョバンニ夫妻はとっても上品で、毎日毎回違う格好で登場します。だんなさんはロマンスグレーの長髪を軽く
後ろに流した鼻の高いハンサムさん。奥様はこれまたカトリーヌ・ドヌーブを思い出してしまうような麗人。
いつも姿勢がピンと伸びていて、着ている服も我々のようなカットオフ・ジーンズに色のすっかり抜けたよれよれのタンクトップ、、なんかじゃなくてきれーなパステルカラーの、プレスの効いたポロ&綿パンと奥様もひらひらが多目の、これまたきれーなパステルカラーのワンピースだったりするのです。世界が違います。オーラが違います。
でも、裸足。なぜか裸足。
いいのです。ここはモルジブ、ビーチリゾートなんですから。
食事の取り方もステキです。ビュッフェで好きなもの取り放題でも、どっかの日本人みたいにひとつの皿にこぼれ落ちんばかりになんでもかんでも載せてくるような不恰好なマネはしません。
ふたり仲良く、サラダで始まり、また仲良くメインコースを取りに行き、そしてまたふたり仲良くデザートを取りに行きます。
常にこのコースを守ります。都合3往復。さすがはおフランス仕込。その後ろで私は、スープとパンに始まり、なんとなくデザートを食べた後、もう一回肉が食いたくなってあわてて取りに行き、最後にもう一回スープ飲んだろ!と舞い戻り、ついでに腹いっぱいでもう食えもしないパンをまたぞろ持ってきちゃったりなんかして、まさに東洋の猿!
おそらく猿の行動が気になるのでしょう。なにしろ唯一の日本人カップル、いや唯一の東洋人カップルなんですから、注目度が違います。
ジョバンニ夫妻は上品ですから大声を出すことはありませんが、ひそひそと語り合うふたりを見ていると、ときどき、、いや、しょっちゅう目が合うんです。どうやら猿の行動を観察しては、ささやくように語り合ってるようです。
きっと私の脈絡の無い食事の取り方を見ては嘆き、シンガポール仕込(住んでます)の猫背でパスタをずるずるススる姿を見ては嘆いているのでしょう。
どうして俺達は猿といっしょなんだ?と悩んでいるのかもしれません。
それでもジョバンニさんは上品です。そんなことはおくびにも出さず、相変わらずふたりだけに聞こえるような声で語り合い、
控えめに微笑みあい、音も立てずに食事をされています。
自然とこちらも徐々に感化されて、妻の前であまりに恥ずかしい姿のままでいるのも面目ないので、姿勢をただし、あくまで上品に、スープをすすり、パンを口に放り込みます。本人は上品なつもりです。
しかしここに問題が起きました。
大きな蟻です。テーブルの上を歩いてるのです。
これはやはり上品に処理しなくちゃなりません。
西洋のテーブルマナーを教わりましたが、蟻の処理は書いてありませんでした。でもナイフとフォークを上手に使うことは間違いありません。
その時私は、ふと古代エジプトでは蟻に皮膚を噛ませて、そのまま頭と胴体を切断し、そうして麻酔代わりにしたという話を思い出しました。
ええ。告白しますとそのとき私に古代エジプトの外科医が取り憑いて、なにやらトリップしていたんではないかと思うのです。
気づいたときは、蟻のくびめがけて『ギロチン!ギロチン!』と叫んでナイフを振りかざしていました。
必死に逃げる蟻に対してこっちも真剣、ちょっと夢中になっちゃいました。
叫んだと言っても、そんなに大きな声を出したわけではありません。せいぜい妻に聞こえる範囲で・・という程度です。
ふと見るとジョバンニ夫妻が私を見てるじゃないですか?それも盗み見じゃなくて、すっかりふたりして振り返ってマジマジ見てるじゃないですか。
私はもう一度叫びました。。『ギロチン!!!』
すると、どうでしょう!!それまで上品に、静かに落ち着いてお食事していたジョバンニ夫妻の顔がむずむずしだして・・・
ぐぅわぁーはっは!!!!!!!大爆笑!・・・・・・やった!受けた!
私はフランス語はできません。
でも世界はひとつ。人類はみな兄弟。心は通じるものです。
ジョバンニさんが私を人間と認めてくれてたら、の話ですが。
猿じゃないよ~。日本人だよ~。ほらジョバンニさん、あなたの持ってるデジカメも、その横にあるビデオも私たち日本人が作ったんだよ~。。フランス語だってちょっとは喋れるんだよ~。。。ホネオリゾン・クタビレモケ・・・・ね?
ええっと、何の話してるんでしたっけ?・・・モルジブ紀行でしたよね。
改めて、出直しまーす。